アロマセラピーを安全に楽しむために
植物の世界は、薬理性を備えた自然薬の宝庫です。
植物を表す草冠に「楽」をつけると「薬」という字になります。「草木によって体の調子が良くなる、楽になる」という植物が持つ力は、昔からよく知られていました。
アロマセラピーで用いる精油には、薬理作用のある成分が含まれています。どの成分がどの程度含まれているかなどの化学を知ることで、その精油の香りや心・体・肌への作用、危険性や毒性などを理解することができ、より安全に、最大限のアロマセラピーの活用ができます。
人間よりも繊細な動物にアロマセラピーを施す際には、不本意な事故などを未然に防ぐためにも、正しい知識のもと、細心の注意を払い、精油やハーブウォーターを使用します。
PAWでは、人にもペットにも正しく、安全に、安心して実践できるアロマセラピーの考え方や方法をお伝えしています。
<アロマセラピーの基本的な注意事項>
- ●良質な精油を使いましょう
精油は、信頼できるメーカーやアロマセラピーの専門店で購入しましょう。また、精油のラベルには「商品名」「学名」「抽出部位」「抽出方法」などが記載されていますので、必ず確認した上で購入しましょう。 - ●精油の原液を直接肌に付けたり飲んだりしないこと
ラベンダーやティーツリーは原液を使うこともありますが、基本的にはすべての精油において希釈して使用 します。また、希釈したものでも精油の飲用は控えましょう。
万が一、原液が肌に付いてしまった場合はすぐに大量の水で洗い流し、赤み、刺激、発疹など皮膚に異常がみられる場合には医師の診察を受けましょう。誤飲してしまった場合はすぐに大量の水で口をすすぎ、飲み込んでしまった場合は無理に吐かせず、医師に相談しましょう。 - ●火気に注意しましょう
キッチンなどの火気を扱うような場所では、精油や精油を使ったクラフトの取り扱いには十分気をつけましょう。 - ●精油の使用期限と保管場所
精油の使用期限は、一般的に開封後「1年以内(柑橘類は6か月以内)」です。使用期限にかかわらず、できるだけ早めに使い切りましょう。
また、直射日光や湿気を避け、ペットや小さいお子さんの手の届かない場所に保管しましょう。 - ●通院中・服薬中の方
医師による治療を受けている場合やお薬を処方されている場合は、治療の妨げになる可能性はないかなど、必ず当該医療機関に確認しましょう。 - ●妊娠中の方
妊娠の期間を健やかに過ごすのを助けてくれる精油もありますが、その使用方法も含め、体調に十分に考慮しましょう。また、時期(妊娠初期~後期)によって使える精油と使えない精油がありますから、十分注意しましょう。 - ●子どもや高齢者への使用について
精油の使用は極力避け、使用する場合は低濃度で使いましょう。
- ①乳児(生後0ヶ月~1歳)
精油の積極的な使用は避けましょう。
使用する場合はラベンダーとカモミール・ローマンのみとし、使用方法も芳香浴のみとしましょう。 - ②幼児(1~7歳)
使用する場合はラベンダー、カモミール・ローマン、ティーツリーのみとし、濃度も成人の1/10程度からはじめ、多くても1/2程度までに抑えましょう。 - ③子ども(8~14歳)と高齢者(65歳以上)
使用方法は成人と同じで大丈夫ですが、濃度は半分を目安に使用しましょう。なお、高齢者の方は特に禁忌に注意しましょう。
- ①乳児(生後0ヶ月~1歳)
- ●光毒性に対する注意
精油成分の一部には、日光などの強い紫外線に反応することによって皮膚に炎症を起こすなどの毒性を示すものがあります。光毒性をもつといわれる精油を日中に使用する場合は、注意が必要です。
<光毒性をもつといわれる精油の例>
ベルガモット、レモン、グレープフルーツなど - ●精油の使いすぎに注意しましょう
健康な成人であれば、1日に6滴(約0.3ml)まで精油を使用しても無理なく代謝され、精油の体内での蓄 積もなく安全に使用できます。 - ●精油は薬ではありません
精油には、心や体に対するさまざまな働きがありますが、決して「薬」ではありません。また、アロマセラピーも治療が目的ではありません。医師の診断が必要と思われるときには、早急に医師に相談しましょう。 - ●パッチテストとスメリングテスト
体質や肌質によって、精油の成分が合わない場合があります。特に初めての精油を使用する際には、パッチテストやスメリングテストを行ってから使うことをおすすめします。